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海の宝石 海苔(のり)

海苔は、日本食文化に欠かせない食材の一つです。その歴史は古く、飛鳥時代から朝廷への貢物として献上されていた記録が残っています。
当時は「紫菜」や「神仙菜」と呼ばれ、貴族や上流階級の嗜好品として珍重されていました。江戸時代に入り、養殖技術が発達すると、庶民の間でも広く食べられるようになり、現在では日本人の食卓に欠かせない食材となりました。
海苔は、紅藻類の「アマノリ属」に属する海藻の一種です。その種類は約30種類あり、食用として一般的に用いられるのは「スサビノリ」、「アサクサノリ」、「ウップルイノリ」、「カイガラアマノリ」などです。
日本では、これらの海苔を養殖によって生産しており、そのほとんどが「スサビノリ」です。

海苔の産地

海苔は、日本全国で養殖されていますが、主な産地は以下の通りです。
有明海
全国シェアの約6割を占める最大の産地。佐賀県、福岡県、熊本県が主な産地。
瀬戸内海
全国シェアの約3割を占める。兵庫県、岡山県、広島県、山口県などが主な産地。
伊勢湾
愛知県、三重県が主な産地。
東京湾
千葉県、神奈川県が主な産地。
仙台湾
宮城県が主な産地。
1有明海
有明海は、世界でも珍しい干満差が大きい海です。この干満差を利用して、海苔を養殖しています。
有明海の海苔は、香りが強く、口の中でとろけるような食感が特徴です。
2瀬戸内海
瀬戸内海は、穏やかな海で、海苔養殖に適しています。瀬戸内海の海苔は、有明海の海苔よりも薄く、パリッとした食感が特徴です。
3伊勢湾
伊勢湾は、海苔養殖の歴史が古く、江戸時代から海苔が生産されています。
伊勢湾の海苔は、有明海や瀬戸内海の海苔よりも色が濃く、味も濃いのが特徴です。
4東京湾
東京湾は、江戸前海苔の産地として有名です。東京湾の海苔は、香りが強く、歯切れが良いのが特徴です。
5仙台湾
仙台湾は、近年海苔の養殖が盛んになっている産地です。仙台湾の海苔は、厚みがあり、食べ応えがあるのが特徴です。
6その他
北海道・沖縄
韓国【全羅南道・慶尚南道】
中国【福建省・江蘇省・山東省】
台湾【嘉義県・台南市】
アメリカ・カナダ・チリ・ニュージーランド等でも養殖されています。

海苔は国内だけでなく世界中で食用とされています。

海苔の種類と加工方法

海苔は、加工方法や形状によって様々な種類に分類されます。
生海苔
海苔を乾燥させずにそのままの状態のもの。
板海苔
生海苔を乾燥させたもの。
焼き海苔
板海苔を軽く炙ったもの。
味付け海苔
焼き海苔に醤油や砂糖などの調味料を味付けしたもの。
糸海苔
海苔を細く切ったもの。
海苔佃煮
海苔を醤油や砂糖などで煮込んだもの。

これらの海苔は、それぞれ異なる味わいや食感を楽しむことができます。

海苔の栄養

海苔は、栄養価の高い食材として知られています。タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含み、特にビタミンA、ビタミンC、カルシウム、鉄分、葉酸、食物繊維の含有量は顕著です。
ビタミンA
視力維持、皮膚や粘膜の健康維持
ビタミンC
抗酸化作用、免疫力向上、コラーゲン生成
カルシウム
骨や歯の形成、筋肉の収縮
鉄分
貧血予防、ヘモグロビンの生成

ビタミンA、ビタミンC、カルシウム、鉄分などの栄養素が豊富なので栄養価が高いです。
葉酸
細胞分裂、DNA合成、赤血球の生成
食物繊維
便秘解消、腸内環境改善、コレステロール値低下

食物繊維が豊富なので、便秘解消や腸内環境改善に効果が期待できます。

海苔は、これらの栄養素をバランス良く含んでいるため、健康維持に役立つ食材と言えます。

海苔の選び方

海苔を選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。
鮮やかな緑色をしているものが良い。
海苔の色は、主に以下の3つの要素によって決まります。
1種類
アサクサノリは緑色、スサビノリは赤褐色
2生育環境
日当たりの良い場所で育った海苔は緑色が強く、日陰で育った海苔は赤褐色
3加工方法
乾燥方法や焙煎度によって色が変化
一般的に、緑色の海苔は若い海苔で、赤褐色の海苔は成熟した海苔とされています。 また、乾燥方法や焙煎度によって、海苔の色は薄緑色から黒褐色まで変化します。
香り
海苔の香りが強いものが良い。
ツヤ
光沢のあるものが良い。
厚さ
厚すぎず、薄すぎないものが良い。
硬さ
適度に硬いものが良い。

海苔の使い方

海苔は、様々な料理に使用することができます。
おにぎり
ご飯を海苔で包む。
海苔巻き
海苔にご飯と具材を乗せて巻く。
味噌汁
味噌汁の具材として入れる。
天ぷら
海苔を天ぷらにして食べる。
おやつ
そのまま食べる。

海苔は、和食だけでなく、洋食や中華料理にも活用できます。

海苔の文化

海苔は、日本の文化においても重要な役割を果たしてきました。
浮世絵
浮世絵には、海苔を売る行商人や、海苔を食べる人々の姿が描かれている。
俳句
俳句には、海苔を題材とした作品が多く存在する。
歌謡曲
歌謡曲にも、海苔を題材とした作品がある。

海苔は、日本の食文化だけでなく、芸術や文化にも深く根付いています。

海苔の未来

近年、地球温暖化の影響で海苔の養殖が難しくなっています。そのため、海苔の養殖技術の向上や、新たな海苔の品種開発などが求められています。
また、海苔の栄養価や機能性に関する研究も進んでおり、海苔の健康効果に関する新たな知見が期待されています。

海苔の海外需要

海苔は、日本食の代表的な食材の一つですが、近年は海外でも需要が拡大しています。 海苔の海外需要拡大には、以下のような背景があります。
和食のブーム
近年、世界中で和食がブームとなっており、寿司や海苔巻きなどの海苔を使った料理が人気
健康志向の高まり
海苔は栄養価の高い食材として認識されており、健康志向の高まりとともに需要が拡大
スナック菓子としての需要
味付け海苔や焼き海苔などの海苔スナックが、海外で人気

【主な輸出先】 海苔の主な輸出先は、以下のような国々です。
アメリカ
世界最大の海苔輸入国
中国
経済成長とともに海苔の需要が拡大
韓国
韓国料理にも海苔が使用
東南アジア
和食レストランの増加とともに海苔の需要が拡大
ヨーロッパ
健康志向の高まりとともに海苔の需要が拡大

今後の展望

海苔の海外需要は、今後も拡大していくと予想されています。
海苔は日本が誇る食材の一つです。海外での需要拡大とともに、海苔の生産量や加工技術もさらに発展していくことが期待されます。しかしながらいくつかの課題もあります。
価格
海外では海苔が比較的高価な食材と認識
品質
海外市場では、品質の高い海苔が求められる
競争
韓国や中国などの海苔生産国との競争

これらの課題を克服するためには、以下のような取り組みが必要となります。
生産コストの削減
生産技術の向上や規模の拡大によるコスト削減
品質管理の徹底
国際的な品質基準を満たした海苔の生産
ブランド化
日本の海苔のブランド化による付加価値向上
新たな用途の開発
海苔の新たな用途の開発による需要拡大

海苔は、日本の重要な輸出産品の一つです。課題を克服し、海外市場での競争力を強化することで、海苔の輸出量をさらに拡大していくことが期待されます。

まとめ

海苔は、栄養価が高く、様々な料理に使用できる食材です。日本の食文化に欠かせない存在であり、今後もその価値はますます高まっていくでしょう。

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